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Smombie(スモンビ)増殖

スマホとゾンビを掛け合わせた造語「Smombie」(http://www.jugendwort.de/)がドイツで流行している。
スマホの画面を見ながら集団でのろのろとゾンビのように歩くスマホ中毒者を指しているらしい。ドイツ南部のアウクスブルク市は、危険な「Smombie」対策として「路面信号機(traffic lights in the pavement)」まで設置したことで注目を集めている。路面電車との衝突事故を防ぐ為に、電車の接近を知らせる信号機を視界に入りやすい地面に取り付けたのだ。
米ニュージャージー州では「Smombie」を狙い撃ちにする「注意散漫歩行法案」が提出され、違反者には50ドルの罰金か15日の懲役が科せられるそうだ。全米安全評議会によると、「歩きスマホ」が原因の事故は、この10年余りで累計11,100件に達しているという。世界中で「歩きスマホ」絡みの事故やトラブルが急増し、当局が対策に苦慮しているのだ。
中国当局もやる事が早い。重慶市の目貫通りに、「スマホ禁止レーン」とともに「歩きスマホ専用レーン」を設けてしまった。韓国のソウルでは、手の中のスマートフォンに気を奪われたまま道をさ迷う「Smombie」が事故にあわないよう警告する標識が登場。 日本でも昨年11月にJR東日本が携帯電話大手3社と組んで「やめましょう、歩きスマホ」というキャンペーンを展開した。歩きたばこ禁止条例のように、「歩きスマホ」禁止条例も施行されるのは時間の問題のようだ。
そんな中、「Smombie」増加をさらに加速させたのが、8月5日に日本でも配信が開始された『Pokémon GO』だ。配信直後の騒ぎは落ち着いてきたが「Smombie」製造機のようなものだ。一足先に配信がスタートしたアメリカでは、使用中の事故やトラブル、引ったくり事件、交通違反取締りなどがニュースで数多く取り上げられた。
『Pokémon GO』は、米のナイアンティック社による位置情報を利用したスマホ向け陣取りゲームアプリ「Ingress」と、コレクション要素の強い「ポケモン」が出会って出来上がったゲームだ。任天堂前社長の故岩田聡氏が、ゲーマーを狭い部屋から外に連れ出し、ゲームを社会や子供の親から嫌われないものにすることを目指した結果、普通のユーザーをもかつてない勢いで外に連れ出すことに成功した。その結果『Pokémon GO』は、親子の絆を深めるアプリとまで言われるようになったのだが、岩田氏もまさかゲーマーが「Smombie」化するとは思ってもいなかっただろう。
うつむいて歩く「Smombie」が増殖し、将来は自動運転のEVで高速道路上をさまよう「Smombie Car」も増え続けるに違いない。

| 16.08.19

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