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異世界ファンタジー

NHKの大河ファンタジー『精霊の守り人』(http://www.nhk.or.jp/moribito/)が注目を集めている。上橋菜穂子著・守り人シリーズの大河ドラマ化で、女優の綾瀬はるかが演じる女用心棒・バルサの活躍を描く冒険物語だ。この手のファンタジーもののドラマ化は製作費がばく大で日本のテレビが苦手とするところだが、今回は全22回を3年かけて制作・放送する。かなりの長丁場だが、どんどん進化した内容となって完結していくようだ。
21世紀に入ってから世界の映画界では興行収入トップとなるファンタジー・ブームが続いている。『ロード・オブ・ザ・リング』や『ハリー・ポッターと賢者の石』が世界的に大ヒットし、異世界の出来事がコンピュータ・グラフィックスをはじめとする最新の映像音響技術を駆使した壮大なファンタジーとして描かれてきた。中でも2009年に公開された『アバター』は3D映画を普及させるエポックメイキングな作品となり、世界興行収入歴代1位の記録を打ち立てて未だに破られていない。昨年10年ぶりに新作が公開された『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』もやはり壮大なファンタジーだ。
人はどうしてファンタジーを求めるのだろうか?現実からの逃避願望は誰にでもあるものだが、もう一人の自分(アバター)が住むアナザーワールドでヒーローになることは、すべての人の潜在意識の中にある願望なのだろう。コンピュータ・グラフィックス(CG)とセンサー技術がその世界を創り出すことを可能にしつつあるようだ。とりわけゲーム業界が巨大産業に育ちつつある背景には、原動力として人間の異世界ファンタジーへの憧憬があるものと思われる。
コスプレ、女装、レディボーイも超現実の1つだが、VRで創り出される異世界ファンタジーで生きる自分のアバターを知覚する事で、超現実の社会に自分をシフトできるのだ。現実と超現実を行き来するようになる。究極、「肉体が滅びても脳と知覚が生き残り、人類はVR上で永遠の生命を手にいれる」ということになるだろうか?「トータルリコール」は映画史上不滅のコンセプトか。
10億年以上前の火星に生命体が生きた痕跡があると言われるが、現実の文明が滅びた現代の火星で、地底に巨大データセンターが発見され、超現実に生きる火星人の人工知能が発見されたという日が来るのだろうか?

| 16.04.01

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