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アフロハーフ

高校スポーツの世界で、アフリカ系日本人(アフロハーフ)の選手たちがこぞって注目を集めている。
先日、世界陸上男子200メートル予選で、日本史上最年少出場となったサニブラウン・アブデル・ハキーム(城西高2年)は、100メートル銀のガトリンに次ぐ2位(20秒35)で準決勝に進んだ。このスプリンターの父はガーナ人、また、この夏の甲子園を沸かせたオコエ瑠偉(関東第一3年)と女子バレー日本代表の宮部藍梨(金蘭会高2年)の父はナイジェリア人、ラグビー日本代表の松島幸太朗(22・サントリー)の父はジンバブエ出身だ。さらに、男子バスケットの日本代表に選ばれた八村塁(明成高3年)は父がベナン出身、オリックスのドラフト2位ルーキー宗佑磨内野手の父はギニア人という具合だ。
アフリカ系の選手たちが持つ運動能力の高さは多くの人が認めるところだ。運動生理学的に見ても瞬発系競技は先天的に黒人が有利だという。例えば、足を引っ張り上げるときに使う陸上選手の腸腰筋(大腰筋・腸骨筋)を比較すると、日本人はアフリカ系選手の半分だという。アフリカ系ハーフの日本人選手たちの活躍に触発されて、今後また新たな選手が出てくるだろう。彼らが2020年の東京オリンピックの成否を大きく左右する存在になる可能性は十分にある。
また、先日「2015ミス・ユニバース・ジャパン」に選ばれた宮本エリアナも、長崎県佐世保市生まれ、アフリカ系米国人の父を持つ日本人だ。3月の日本大会でグランプリに選ばれたが、肌の色から「彼女は日本人じゃない」という心ない視線が向けられた。今回のミス・ユニバースは“日本人”とは何かを日本人自らに突きつけていたようで面白い。時を同じくして、国立遺伝学研究所(http://www.nig.ac.jp/nig/ja/)と東京大学の共同チームが、アイヌ人や日本列島本土人の遺伝情報を解析した結果、遺伝子配列の違いから、縄文人の血が濃いと見られるアイヌ人と弥生人の子孫とされる渡来人の混血は7世紀に始まった、と推定する研究結果を発表した。
日本列島は、大陸とつながっていた1万年以上前から東西南北各方面から違う人種が入り込み混血したことで知られているが、アフリカ大陸からの移民は非常に少なかったと思われる。7世紀以降の混血は列島内を中心に行われ、今や単一民族と見間違う程均一な血になっているが、新しい日本の活力は、今、アフロハーフの血にこそあるのではないだろうか?

| 15.09.04

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