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REG

「REG」とは、野球場、遊園地、競馬場などあらゆる空間を舞台に物語を付け、数人で協力しあって制限時間内に謎を解き、空間からの“脱出”をはかる「リアル脱出ゲーム」(http://realdgame.jp/)のことだ。これが今、一部ですごい人気だという。
「リアル脱出ゲーム(REG)」は、日本のSCRAP社が、ネット上で爆発的に盛り上がった脱出ゲーム「クリムゾンルーム」のフォーマットを、そのまま現実世界に移し替え再現したことから始まった。暗号などの謎を解きながら、制限時間内に密室や迷路から抜け出す「脱出ゲーム」が、今、様々な場所で開催されている。
見知らぬ人々と密室空間に閉じ込められ、共同で謎を解いて脱出を図るというスタイルのイベントは今まで無かった。特に小説の中のミステリーを模したシナリオが多いため、ミステリー好きとしてはたまらないだろう。生みの親であるSCRAP社の加藤隆生氏は「リアル脱出ゲーム」を「大人の部活」や「文化祭」に喩えている。昨年1年間の延べ参加者数は50万人(売上高30億円)程度だが、リピート率が高く、業界規模はまだ小さいが、今年はさらに拡大すると有望視されている。
この6月にシンガポールで開催された「陰謀からの脱出」は、シンガポール全島が会場というかつてない規模で話題になった。日系イベント会社「ヴィヴィッド・クリエーションズ」が主催するこのREGは、参加者が島の全域に足を運ぶことで、新たな観光資源の発掘や地域への理解の深まりといった効果も期待されている。日本発のゲームが、地域の活性化にも一役買っている。また、REGは知力と体力と感性が必要とされるので、大学研究者や企業のマーケティング担当者も注目しており、米国ではチームビルディングの研修としてビジネスの場でも利用されているそうだ。
小松左京著『日本沈没』は、日本列島が地殻異変で沈没する中、日本人の脱出計画を進めるというシナリオだった。各地で地震や噴火が連続し(現代に当てはまる?)、人々は必死で生き残ろうとする。「リアル脱出ゲーム(REG)」さながらの様子が描かれ、現在も影響力の強い作品だ。福島の時「もしや…」と恐れた人もいただろう。
このところ同時進行中の火山の活性化や、原発のメルトダウンを「脳内化」させてはいけない。現実の日本で起こっていることなのだ。政府は原発を再稼働させる前に、「リアル脱出ゲーム(REG)」でも使って災害時の日本国民の生存率を高める努力をするべきではないだろうか?パニックを恐れて情報統制をするばかりが能ではない。
準備さえすれば「国民はもっと賢い」と信じることが大切だ。

| 15.07.10

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