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さらさらゴールド

「さらさらゴールド」?と言われても何の名前かわかる人は少ないだろう。健康食品か新種のサプリメントかと思いきや、2013年から三井物産が北海道の農業ベンチャー企業と共同開発をはじめた「ONIONI」ブランドのタマネギ(http://www.onioni.me/?pid=80910566)の名前だそうだ。
この夏から、サプリメントや加工食品だけでなく生鮮食品でも、消費者庁に届け出れば「健康への効果」を表示できる、新しい食品表示制度が実施される。申請した事業者は、トクホのようなマークはないが、届け出番号を付けられることになる。
高機能野菜の草分けは、カゴメが2007年に発売した「高リコピントマト」(http://www.kagome.co.jp/seisen/seisen-tomato/lineup/)だ。活性酸素を消去し、抗酸化作用があるカロテノイド(リコピン)を通常の1.5倍含んでいるという。このような成分の有効性を示す表示がこれからは可能になる。
タマネギの「さらさらゴールド」は、植物性ポリフェノールの一種で抗酸化機能がある「ケルセチン」によって動脈硬化予防や血糖値抑制に効果があることを表示できることになる。同様に、特別に品種改良された温州ミカンが、「骨の健康を保つβ-クリプトキサンチンを含み、更年期以降の女性に適している」とか、ある種のホウレンソウが「ルテインを補い、目の健康維持に役立つ」などと表現できるようになるそうだ。最近では、野菜がもつ「抗酸化系」「免疫系」「解毒系」などの機能性を強調して野菜を販売する事業者も出始めている。
TPP問題では、海外から大量に安い農産物が入ってきて日本の農業は非常に厳しい状況になると言われている。しかし、それは逆に日本の農産物がいかに機能性が高く体によいかを証明するチャンスであり、海外市場で日本の農産物の優位性をアピールし輸出を大きく増やすきっかけでもある。
自動車や機械産業だけが競争にさらされているのではない。日本の農業生産者はモラトリアムな状況を脱出し、これらの機能性表示を利用して高くても購入したくなるすごい商品を作り出し、世界市場で勝負できるようになって行くよう期待されていることを忘れてはならない。

| 15.03.13

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