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日本暮らし

関西国際空港を2014年上期に利用した外国人旅客数が前年同期比31%増の約321万人と過去最高となり、1994年の開港以来初めて日本人旅客数(約317万人)を上回ったとして、話題になっている。格安航空会社(LCC)の就航増加や、円安、ビザの発給要件の緩和を受けて、アジアを中心に観光客が増えたためと見られている。今年9月までの外国人旅行者数は1000万人に迫り年間で1300万人を超える見込みで、訪日外国人数はこの10年でほぼ倍増した。
世界的にみると、最大の観光国・フランスへの外国人旅行者数は8301万人と群を抜いており、2位は米国の6696万人、3位は中国の5772万人、4位がスペインの5770万人、5位がイタリアの4636万人…の順(「世界観光ランキング2012」)で、日本は「観光先進国」の仲間入りにはほど遠い。その分まだまだ伸びしろがあるとも言える。また、視点を変えると、これらの数字はビジネスなどでの入国を含む人数である上、陸続きでない日本の場合ほぼ全員が空路からの入国となる訳で、1000万人超えは悪くない数字とも言える。空路しかない国や地域と比較してみると、オーストラリアが612万人、ハワイは米本土からの旅行者も含め784万人だ。
そうした中、米旅行専門誌『Travel + Leisure』(http://www.travelandleisure.com/)が実施した読者投票「ワールド・ベスト・アワード2014」で、京都が1位に躍り出た。投票に参加する読者は文化や芸術、価格など複数の要因を考慮して魅力的な旅行先かどうかを判断する。ちなみに昨年のランキングでは京都が4位、トップはタイのバンコクだった。同誌は京都について、桜や寺院、庭園ばかりでなく、それ以外の魅力もあると指摘、中でも他の国にはない“町家”をその一つとして注目しているようだ。
また2009年に発行された日本に関する旅行ガイド『Michelin Green Guide Japan』(http://www.michelintravel.com/shop/japan-green-guide/)に続き、2011年の改訂版でも、飛騨高山が「わざわざ旅行する価値がある」三つ星の評価を得ている。日本の都市でほかに三つ星を得たのは東京、京都、奈良、日光だけ。大阪、金沢、倉敷、長崎は二つ星、函館、弘前、神戸、萩は一つ星という格付けを見ても、高山の高評価が際立っている。外国人が歴史的日本住居に暮らし続ける生活文化に興味を持っていることを示している。
外国人観光客については、ステレオタイプのジャパンツーリズムではなく、日本の伝統的地方暮らしそのものに目が向いていることを見逃してはならない。世界が固有の文化を相互に交換しあう時代になった今、観光は最終的には国ではなくその拠点となる都市・地域文化間の戦いだ。グローバル化が行き過ぎると、観光の意味がなくなるというパラドックスは面白い!

| 14.10.24

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