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御朱(集)印

霊的な力が満ちているとされる「パワースポット」の御朱印を集めて回る若い「御朱(集)印ガール」がひそかに増えているそうだ。『日本全国この御朱印が凄い!』(ダイヤモンド・ビッグ社 http://www.diamond.co.jp/arukikata/9784478044704.html)によると、御朱印は、個性あふれる筆づかいや押し印のデザイン性などからアートとしての側面も持っている。同じ寺社でも書き手によって筆跡や押し印の濃淡が異なり、御朱印のデザインも変わる。また、日本の寺社固有のものとして、御朱印の芸術性は広く海外にも知られている。
実際10年前に比べると、多くの寺社で御朱印を求める女性が5~10倍に増えているそうだ。神社自らがおおっぴらに販売したり広告したりはしていないが、参拝者を増やす絶好のきっかけにもなっているという。その一方で、御朱印をスタンプラリーのように扱うべきではないとして、特に他宗派、他宗教のものと混ぜているものには御朱印を発行しないと、ポリシーを貫く寺社も少なくないようだ。
御朱印は本来、参拝者が写経をお寺に納めた際にもらえる「お印」だったが、一説によると江戸時代後期頃から納経しなくてももらえる参拝のあかしとなり、やがて神社にも広がり、今では多くの寺社でもらえるようになったのだそうだ。キリスト教でも巡礼証明のスタンプが発行されるなど似たようなものがあるが、神仏や寺社名が書かれ、御本尊や御神体(ごしんたい)の分身として扱われる御朱印は日本独自のものだ。ただの観光で神社やお寺に行く人が、記念として宗派も気にせず各神社・寺院の御朱印を集めるのは、無節操ではあるが、それが今や楽しく魅力的なコレクションになっているようだ。
多くの日本人は自らを“無宗教”と言うことが多い。しかし宗教そのものに馴染みが薄くても、御朱印がイメージする“宗教のようなこと”に親しむことに精神的な価値を見出すのは日本人独特の宗教観だ。世界中の多くの紛争が宗教戦争であることを考えると、宗派を気にせず宗教的ご神体をコレクションしたり、クリスマスを祝ったりすることに何の抵抗もない日本人の「御集印」人気は、無節操と言える反面何とも穏やかで貴重な世界平和への貢献になっている!?

| 14.10.17

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