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クニエダシンゴ

今年のUSオープンテニスの男子シングルス、錦織圭が驚異的な成長を見せ、4大大会の決勝にアジア人として初めて進出した。結果は惜しくも準優勝に終わったが、テレビ各局もすごいフィーバーぶりで、国政選挙並みの対応を見せた。錦織の活躍は実に素晴らしかった。しかしテニス界の頂点までには、まだ4大大会の制覇(グランドスラム)とオリンピックの金メダル獲得を同時に成し遂げるゴールデンスラムが待ち構えている。テニス界でトップに上り詰めるにはまだまだ険しい道が待っているのだ。
しかし、ニュースではほとんど語られなかったが、日本には既に偉大なテニス選手がいる。錦織が準優勝になる中、同じUSオープン車椅子部門で男子シングルス、ダブルス共に世界一に輝いたクニエダシンゴだ。
30歳の国枝慎吾(http://www.tennis-navi.jp/blog/shingo_kunieda/)は、同大会の車椅子部門で3年ぶり4度目の優勝をし、今季全豪、全英、全仏、全米の四大大会全てのシングルス優勝(グランドスラム)を果たした。それにより何と4度目の年間グランドスラムを達成したことになるという。これは世界でもクニエダシンゴだけだそうだ。彼は、2006年に初めて世界ランク1位となって以降、2008年の北京パラリンピックのシングルスで金メダルを獲得するなど、車椅子テニス界の第一人者として現役で活躍し、世界のテニスプレーヤーに最も尊敬されている選手だ。なのに日本のメディアは、何故か彼を取り上げない。今回のUSオープンでも解説者の松岡修造は遂に一度も取り上げなかった。なぜなのだろう。
ここに面白い逸話がある。数年前に日本のスポーツ記者が元男子シングルス世界ランク1位のロジャー・フェデラーにインタビューした時に、「なぜ日本から世界的なテニス選手が出ないのか?」と聞いたそうだ。するとフェデラーは即座に「何を言っているんだ君は? 日本にはクニエダシンゴがいるじゃないか!」と言い、さらに、自身のグランドスラムについても、「グランドスラムは自分よりもクニエダの方が先だろう」と答えたという。
日本のマスコミは、事実よりシナリオを大切にする。もちろん松岡修造も国枝慎吾を知っているだろう。しかし、国枝のスゴサを取り上げたら錦織がしぼんでしまうのだ。錦織はグッドルッキングでもあるし、ここは国枝を無視して視聴率の為にどういうシナリオが大事かと判断してしまう。事実の報道よりも、受けるストーリー性が大切になってしまうのだ。スポーツマスコミにおける松岡修造(テニス)や松木安太郎(サッカー)は、既に解説者ではなく自らがパフォーマーだ。
大手マスコミのこの報道の姿勢は、朝日新聞を笑えないのではないか!

| 14.09.12

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