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自国監督

2018年W杯ロシア大会を目指す日本代表の新監督に、メキシコ人のハビエル・アギーレ氏(55)の就任が発表された。
ザッケロー二前監督は選手としても監督としてもW杯の経験がなかったが、アギーレ氏は、主力選手として1986年W杯メキシコ大会に出場し8強進出。監督としてはメキシコのクラブを経た後に、母国の代表を率いてW杯に2度出場。2002年日韓大会、2010年南アフリカ大会で16強入りした、W杯を知り尽くした人物として期待されているようだ。
しかし、過去19大会すべてにおいて、W杯に優勝する国は自国人の監督が率いている、というデータがある。決勝トーナメントが16チームで争われるようになった1986年のメキシコ大会以降7大会のデータを見ても、ベスト16進出国で延べ112チーム中72.3%の81チームが自国人監督、27.7%31チームが外国人監督だった。自国人監督81人には、2010年大会の日本代表監督であった岡田武史氏、外国人監督31人には2002年大会のフィリップ・トルシエ氏が含まれている。日本が未だ到達していないベスト8に進出したチームでは78.6%(44人)が自国人、外国人監督は21.4%(12人)だった。ベスト4になると、また一気に外国人監督の割合が減る。28人中ほぼ9割の25人が自国人監督で、外国人監督は3人しかいなかった。1998年大会でクロアチア代表を率いたボスニア人のミロスラフ・ブラジェヴィッチ氏、2002年大会で韓国代表監督を務めたオランダ人のフース・ヒディンク氏、2006年大会でポルトガルを指導したブラジル人のルイス・フェリペ・スコラリ氏の3人だ。共通するのは、いずれの国も優勝経験がなく、その国で過去最高の成績を残した大会であったということだ。さらに、決勝戦に進出するチームはどうかというと、外国人監督はゼロ、ただの一人もいない。優勝を争うブラジル、アルゼンチン、ドイツ、スペイン、イタリアなど強国はそもそも外国人監督を迎えたことが有史以来無い。サッカー新興国が大国から外国人監督を迎えても、決勝の舞台にはたどり着けていないのが現状なのだ。
かつて、オシム氏は監督就任の際、私が日本サッカーの方向性を示すから、自分の次は日本人が監督をするべきだと公言していたが、残念ながらそうした流れを作ることはできなかった。日本のW杯アウェーでの最高成績は、2010年岡田監督の時だ。決勝トーナメント1回戦で敗退したものの、自国監督に率いられて戦った選手たちが帰国した時の顔は晴れやかだった。W杯が国の力を示すというのであれば、監督も自国人であるべきなのだろう。ワールドベースボールの日本代表監督がキューバ人だとしたら…?そんなことは考えられないだろう。
日本サッカー協会は2050年までのワールドカップ優勝を目標としているそうだ。果たしてそのときまでに世界で戦える日本人監督は生まれているだろうか。現状でも三浦和義、ラモス瑠偉、中田英寿など、候補者はいるように思うが…?日本サッカー協会は、ワールドカップの意味を“勝てば良い”と取り違えてはいないか。オールジャパンで勝つのは、まだまだはるか先だろうが、結果よりもプロセスが大切なのは言うまでもない。

| 14.08.01

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