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国語的算数教室

子どもたちがより楽しく効果的に「文章題を読み解く力を養うこと」、「図形問題を把握する力を育成すること」を目的とした教材「玉井式国語的算数教室」(http://www.kokugoteki.jp/)、アジアでその人気が高まっている。
教材クリエイター玉井満代氏が監修し2010年に全国展開を開始、国内で270を超える学習塾が導入しているが、同時に韓国や香港、インドなどアジアにも広がっている。同教材は物語を楽しく読み進めながら算数の文章題を解くことで、情景・状況をしっかりとイメージして問題を解く習慣が身につく、いわば物語計算術だ。魅力あふれるキャラクターや子どもの興味を引く題材が子どもの集中力を高め、視覚で状況を把握するアニメーションが文章題を解く際のイメージ作りの助けになっている。また、これを繰り返すことでイメージング力が養われることを狙っている。
算数の力をつけるには、計算力だけでなく国語力が必要であるということの証明でもある。実際、算数が出来ない子は、算数そのものに問題があるというより国語力の低さが露呈することも少なくない。しかしその一方で、小学生のころから、算数ができるから理系の人間で国語ができるから文系と決めつけてしまうことがよくあるようだ。「玉井式国語的算数教室」は、ボーダーレスの現代において、本来は無いのにあると思われていた文系と理系の間の垣根を取り外すのに大いに役立っている。
理系は科学で文系は非科学、という勘違いをなくし、学問をすべからく「科学」とするのを一般化すべき時だ。科学は対象が何であろうと、経験に基づく仮説と実証からなる客観的かつ合理的な知識体系である。
かつてアップルの創始者S.ジョブズが語ったように、「技術はリベラルアーツや人間性と一緒になることで我々の心を歌わせる。そして、製品やサービスに昇華される。」 彼は、技術の理解と人間の理解、どちらが欠けても、人間の心を震わせ世界に衝撃を与えるような新しいサービスや製品を生み出すことはできないだろうと断言した。時代が求めているのは、学問の境界線をこえた広い教養と、異なる領域にある分野を結びつける知恵、化学反応を起こす創造力だ。学問のボーダーレス化につながる抜本的な教育改革が国力の基となることはいつの時代も同じと言える。
IT教育に特化していたインドでも、最近「玉井式国語的算数教室」の教材が採用されているそうだ。日本の教育改革も英語や留学を取り入れれば良いというのではなく、技術とリベラルアーツと人間性を同次元で捉え、創造力のあるIQを持った人材を育てることを目標にしてほしい。
IQの低いリーダーに再度戦争に導かれない為にも。

| 14.07.04

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