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プリンセス・パン症候群

WHOの出生率の国際比較によると、人口維持に必要な合計特殊出生率「2.1」に、米英仏が年々近づいているのに対し、日独伊はそろって「1.4」前後と低迷しているそうだ。何か第二次大戦後の社会構造に理由があるのだろうか?
今世紀に入り先進国ではカップル形態の多様化が進み、結婚しないカップルの間に生まれる「婚外子」が増加している。仏は、出生全体に占める婚外子の 割合が50%を超えており、子供は結婚して作るという概念は既になく、この社会現象が低下傾向にある出生率の下支えになっている。 未婚のまま子どもを産むことが社会的に認知されているのだ。因みに2008年のデータだが、婚外子の比率が断トツに高い仏に次いで、英43.7%、米40%、独32.1%、伊17.7%と続き、日本は驚くべき低さで2.1%ということだ。
そんな中、フランスの雑誌「ELLE」が、ピーター・パン症候群(少年のままいつまでも大人になりきれない男性)の女性版として、“プリンセス・パン症候群”という女性の生き方を取り上げて反響を呼んでいる。
"プリンセス・パン症候群"とは、「30代半ばから40代前半で、ある程度の収入があって自立し、独身生活を楽しむ女性のこと」を指し、アメリカの脚本家でジャーナリストのトレシー・マクミラン氏が定義し名づけた言葉だ。彼女によると、"プリンセス・パン症候群"の女性は、よくメンテナンスされた美しいボディラインに隙のない着こなし、誰もが羨むような仕事を持ち、男性を虜にし、夫や子供に依存しないという。ドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」に登場する女性たちが先駆けであり、ハリウッドで言えば、性に奔放なキャメロン・ディアス(41歳)などが、正に"プリンセス・パン症候群"の代表で、同時に婚外子を生む女性のイメージともなっているようだ。日本に最も少ない女性像だ。
“プリンセス・パン症候群”の女性達が子供を産んで、社会が受け入れてくれる国づくり、これが進まないと少子化が止まらないことをデータは示している。そう考えると、日本の少子化担当相のあり方が滑稽に思えてくるし、婚外子比率の国別順位もよく理解できる。
1)結婚しない仏オランド大統領、2)カミラ妃を認める英王室、3)夫婦で大統領を狙う米クリントン夫妻、4)色気のないおばさん独メルケル首相、5)男性王国丸出しだった伊ベルルスコー二元首相、6)単なるお飾り女性閣僚しかいない国日本!
婚外子を非嫡出子と呼んでいるようでは、当分日本の少子化は止まらないだろう。

| 14.05.09

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