trendseye

靴中毒女子

ガラスの靴を履きこなしたシンデレラが幸せを手に入れたように、美しく華奢な靴を履きこなすことは素敵な女性の条件とも言える。そんな靴に魅了されてしまう女性達に迫ったドキュメンタリー映画『私が靴を愛するわけ』が公開中だ。
この映画は、50?以上もの高さがあったルネサンス期の靴から、今日のピンヒールまでの歴史を追いながら、靴を通して女性と靴の歴史を紐解いている。作中には、クリスチャン・ルブタン、マノロ・ブラニクなど、全世界の女性が憧れるシューズブランドのデザイナーや、彼らの靴をこよなく愛する有名顧客たち、そしてまさに靴フェチと呼ぶにふさわしい人達へのインタビューも収録されている。女性がなぜ靴に惹かれてしまうのか、靴と女性との関係に迫っているところが興味深い。
フランスのヴォーグ誌によると、読者の8割は靴中毒者で、小型車1台分の金額を靴につぎ込んでいるそうだ。靴は、女性たちの欲望と感情を刺激する、不思議で魅惑的な存在なのだ。そうした中、日本でもこのところ海外ブランドの高級婦人靴の売れ行きが好調だ。映画の中で人気シューズデザイナーのピエール・アルディが語る“女性の官能を呼び覚ます”ハイヒールだけでなく、フラットシューズが急激に伸びているのが、昨年くらいからの傾向らしい。フラットシューズとひと言で言っても、紳士用革靴のデザインを取り入れたタイプや、靴ひものな
いスニーカーの形のスリッポンと種類が豊富になり、各ブランドとも品ぞろえを強化している。装うデザインとしての象徴性も高く、健康との関係も深い、そうした靴本来の価値を重視しようとするのは、最近の消費傾向とも重なっているようだ。
欧米では、エレガントでぜいたくな靴の顧客は一部の富裕層に限られている。しかし、日本では多くの平均的女性たちが、「いい靴は女を上げる」とばかりに高級靴を買い求める傾向がある。こうした購買層の広い日本での高級婦人靴の売れ行きに、世界が注目し始めている。
日本発で新しい高級マーケットを切り開くポイントとして、「高い品質」、「無理すれば手が届く値段」、「独身女性が憧れる」などがキーワードとなっている。超リッチは少ないが、世界の中産階級の高級トレンド消費をボリュームでリードしているのは、相変わらず日本の独身女性マーケットのようだ。

| 13.05.10

CATEGORY

  • BOOM
  • FOOD&RESTAURANT
  • LIVING&INTERIOR
  • SCIENCE&TECH
  • TRAVEL
  • TREND SPACE
ART BOX CORP.