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大学発グルメ

今季も130瓶限定でネット販売された『近大キャビア』は、即日完売だった。『近大キャビア』は、近畿大学水産研究所で養殖されたチョウザメから採取し、熱処理もしないフレッシュキャビアだ。同研究所は、世界初のクロマグロの完全養殖でも知られているが、チョウザメも飼育しており、2008年から毎年キャビア約100瓶を、一瓶(30g)10,000円で販売している。養殖魚と稚魚を販売する近畿大学ベンチャー企業「アーマリン近大」(http://www.a-marine.co.jp/)は、既に有名企業だ。『近大キャビア』は、『近大マグロ』に次いで大学の研究所で世界3大珍味が出来たと話題になり、無添加、無着色、無加熱でも濃厚な味、と年々その評判が広がりつつある。最近大学では、こうした専門性の高い学部が、その設備や研究を生かしたオリジナル食品を続々と開発し、注目を集めているのだ。
また、5月30日から6月5日まで新宿タカシマヤで開催される『大学は美味しい!!』フェアは、今年で5回目になる。 “日本を元気に!食の未来を明るく!” をテーマに、日本各地の34大学が参加し、各大学が取り組んだ美味しい自信作を発表する。 “食の学園祭”的なイベントの効果で今では大学発グルメ食品も珍しくなくなり、一般の民間食品と同列に見る人も増え、リピーターが増えている。
かつて「理系離れ」が進み、理系で思い浮かぶ学部・分野を聞かれても、「農学部」という名前は挙がってこなかった。良い意味でも悪い意味でも「食」への関心が高まって行く中、学問の最前線で、大学は食について無関心だったのではないだろうか。しかし、TPP交渉参加が議論される今、「強い農業」を担う人材の育成などを目指して、大学が農学部を新設する動きも広がっている。食の安全・安心などについて幅広く学べる農学部の人気が学生集めにも一役買っているというのは皮肉だ。首都圏でも農学部強化の動きがある。明治大学は新農場を開設して、最先端技術を活用した野菜生産システムや作物の栽培管理、有機農法、食品加工技術などの学習に力を入れている。
“大学が作った食品”という物珍しさではなく、世界人口が70億人を超えた今こそ、大学での食品開発は時代の要請だろう。

| 13.03.29

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