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女子ウヨ?

最近、若い女性の間で右寄りの思想に傾倒する「女子ウヨ」と呼ばれる人の数が急増していると言われている。果たして本当にそうなのだろうか?
今回の衆議院選挙は、大方の予想通り、294議席を獲得した自民党の圧勝で終わった。当然民主党の苦戦は見込まれていたが、予測を越えて選挙前に230あった議席を57にまで減らし、現職の大臣までも多数落選するという結果にまでなった。英BBCが「日本は右に大きく舵を切った」と表現し、欧米でも「右翼政権誕生」との報道が目立った。震災以降、日本の将来に対する不安や、期待が大きかった分民主党政権に対する失望から、保守右傾化への流れは徐々に加速していた。中でも、これまで保守・タカ派的な主張から比較的遠くにいると見られていた女性たちの右傾化が目立ち、今回の選挙結果を招く大きな要因になったと見られている。
かつて政治の世界というのは、多くの女性にとっては、無関心な存在だった。しかし、政治状況のあまりの不甲斐なさと、ネットの普及が相まって、女性達も日本の政治的危機を身近な生活実感として捉えるようになった。そして、「何か自分も意見を言おう」、「何か自分も行動を起こそう」とする女性たちが増えてきたのは事実だ。女性の活動家と言えば、歴史的には市川房枝に始まり、主婦連など左傾化した活動が一般的だった。しかし、時は流れ2010年に数人の女性たちによって始められた市民活動団体『花時計』は、明解に保守だ。仕事や家事の合間に、女性としてどう訴えたら効果的なのかを探りながら、女性ならではの視点で愛国保守運動を行っている。「頑張れ日本!」のデモ行進に、女性と子ども、ベビーカーからなる花時計チームを編成し、色鮮やかな服装や和服で参加している姿が注目を集めて、世界中に画像が配信されたりもした。
“右翼”といえば黒塗りの街宣車に日の丸をあげた男性のイメージが強い。したがって、女性が「愛国」と言ったり、日の丸を持つだけで、面白おかしく“右翼”と言われてしまう。しかし、多くの女性が政治に問題意識を持って、左一辺倒だった女性政治活動が右も含み、広く意見を言うようになったということだろう。そうした意味で民主党の一時敗北は、女性の政治的成熟へのマイルストーンではないだろうか?

| 12.12.21

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