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Showrooming(ショールーミング)

スマートフォンのアプリ「ショッピッ!」は、店頭で商品を検討した上で、商品のバーコードを読み取ると、40以上の通販サイトとの価格比較ができ、より価格の安いサイトで購入することができるというもの。リアル店舗がネット通販のショールームになって、店舗では買わずに通販サイトで購入する消費者の行動を、米国では「Showrooming(ショールーミング)」と呼んでいる。
10兆円を超える市場に育ったネット通販業界において、バイイングパワーをつけた有力サイトは、大手の小売・サービス業が無視できない価格競争力を発揮し始め、ネット価格が実店舗の価格設定を左右し始めている。かつてネットでの安さと言えば、「型落ち品」や「訳あり品」が理由だったが、今や低価格が、家電の新製品や有力メーカーの日用品、食品にまで広がっている。ネット(直接)通販最大手「アマゾンジャパン」では、コストのかからない無店舗運営に加え、ITを活用した商品管理術で低価格を実現、推定年間売上が5000億円規模にまでなったことで、バイイングパワーも更に向上し、食品や日用品などはメーカー希望小売価格より3~5割引きも普通になってきた。また、ネット通販の中で特に急成長しているのが「ネットスーパー」だ。矢野経済研究所「食品宅配市場に関する調査結果2011」によれば、2006年度には売上高93億円だったネットスーパー宅配分野が、2011年度には719億円(予測値)、2015年度には1000億円に達すると予測されるという。中でも、大手スーパーの中で最も積極的に取り組んでいる「イトーヨーカドー」が続々実施店舗を拡大中で、12年度に145店舗まで増やす計画だ。取り扱い商品数が約3万点と多く、食材は近くのスーパーで買うものと決め込んでいた消費者も、ネットでの商品価格の比較が容易になったことで、低価格で買える店を選別するようになってきたのだ。
実際、「はじめはリアル店舗で買い物をするつもりでいたが、ショールーミングによって、ネットで買い物することにした」という消費行動の変化は、買い物に対する意識を変え、さらにスマートフォンの普及もそれに拍車をかけて、買い物は劇的に変わっていくだろう。

| 12.08.24

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