trendseye

DogTV

アメリカで今、ケーブルテレビ「DogTV」がブレイクしている。「DogTV」とは、Doglifeの専門チャンネルではなく、“犬が見るため”の犬専用番組だ。サンディエゴでケーブル局の番組としてオンデマンド放送されていたが、番組の好評を受けアメリカ全土での放送が決まった。番組は8時間枠で、飼い主不在でも飼い犬がリラックスできるよう科学的な見地からデザインされている。犬の視点から撮影されており、効果音や音楽も犬向けに作られているそうだ。ペットホテルでも実験的に放送され、興奮する犬を落ち着かせるのに効果的な結果が得られたとしている。現在、加入者は100万人を超えており、今後月額4.99ドル(約400円)での展開を検討中とのこと。
一方日本では、お茶の間で42年間親しまれてきたTBSの「水戸黄門」が昨年暮れに最終回を迎え、地上波で時代劇が消えつつあるのに対し、早朝から深夜まで時代劇を放送している「時代劇専門チャンネル」は加入者数を伸ばしている。視聴世帯数は820万世帯に上り、有料放送としては屈指の人気チャンネルだ。
テレビ離れが加速し、テレビ業界の減収や減益が止まらない中、自分が必要とする番組、自分が見たい時に見られる番組を求める「能動的な視聴者」は増えてきている。強制的に流れてくる番組や自分が見たくない番組であっても、朝から晩まで漫然と眺めていることに抵抗しない人々を対象とした、現在のテレビのビジネスモデルは崩れつつあるのだ。すでにアメリカのオンラインDVDレンタル会社の「Netflix(ネットフリックス)」は、世界中のテレビ局から番組を集め、映画も各種取り揃えて「顧客が見たいものを見たい時に」配信している。いわば “テレビ番組と映画のグーグル化”を進めている。
時を同じくして、NHKでは、「Hybridcast」の研究を進めている。「Hybridcast」とは、ネットワーク接続により、テレビ放送自体を立体化し、視聴者の体験も新しくしようというものだそうだ。テレビ放送の時間的制約を嫌って、“リアルタイム派”より“後から派”が増えている中で、公共放送?がどれだけ視聴者を惹きつけるものになるのか疑問だが、試みとしては評価できる。ビジネスモデルの転換と言えば、インターネットビジネスからTV事業を見直そうとした楽天の買収提案を、TBSが受け入れなかったのは今さらながら惜しい事をした。世界のメディア界をリードするチャンスを逸したTBSは、今後悔しているのではないだろうか?TV界の変革は選択肢が多いだけに大きく意見が分かれるところだ。

| 12.06.08

CATEGORY

  • BOOM
  • FOOD&RESTAURANT
  • LIVING&INTERIOR
  • SCIENCE&TECH
  • TRAVEL
  • TREND SPACE
ART BOX CORP.