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留職(リュウショク)

社会人のギャップイヤーとも言える「留職」が今話題だ。「留職」とは、新興国の現地企業等で一定期間就職し、そこで得たスキルを活かして、社会貢献に向けた実践業務を行う、新しい形のグローバル人材育成プログラムを言う。日本のクロスフィールズというNPOが、このプログラムを広めようとしている。経済成長の著しい国で働くことに魅力を感じて、「留職」に関心を持つ新卒者が増えていることは良い事だ。派遣された国で奮闘することによって、「異なる価値観の人々を理解し巻き込んでいく力」や、「困難な状況でも最後まで自分でやりきる力」、「(小規模でも)事業全体を見渡す経営者視点」など、これからのグローバル化で不可欠な人材要件を磨くことができる。「留職」は、本人はもちろん日系企業、自治体、日本経済にとってもプラスになる新しい就職の形として注目され始めている。
一方、かねてより入学時期の変更を検討していた東大が春入学を廃止し、国際標準に合わせて秋入学へと全面移行する方向に動きはじめた。グローバル化が進む今、日本の学生が世界で活躍するためにも、世界の優秀な学生を日本に呼び込むためにも、大学のスタイルをグローバル・スタンダードにすることは当然のことと言える。世界215カ国のうち、7割は秋入学だ。9月にしている国が116カ国と最も多く(欧米諸国においては約80%、アジアでは、中国、インドネシア、ベトナムなど)、続いて10月、1月が多い。その他韓国が3月、フィリピンが6月、シンガポールが1月など、まちまちだが、4月入学はむしろ少数派で、日本、インド、パキスタンなど、世界でもたったの7カ国しかないという。秋入学が実現すると、高校や中学の教育システムにも当然変化が及び、一年遅れることを恐れて海外に行かなかった若者たちが、外に目を向けるきっかけにもなるだろう。
ようやく、自分は「どこで戦うべきなのか?」を冷静にグローバルな視点で考えるチャンスが来はじめている。学ぶ場所を、働く場所を、住む場所を、戦う場となる国をどこにするべきか?が視野に入ってきた様だ。

| 12.02.03

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