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小ぶリッチ

見かけは小さいけれど高機能がウリのモノを “小ぶリッチ”(小ぶりでも中身はリッチ)と言うらしい。先日開催された第42回東京モーターショーでも、1人乗りの小型電気自動車(EV)が、注目を集めていた。中でも、医薬品メーカーの興和と、ロボット開発のテムザックが設立した、興和テムザックの出展した「KOBOT」は、これからの街づくりを意識した、超小型・超小回りを実現したキサイティングな乗り物であるばかりでなく、伸縮折りたたみ機能を搭載して省スペースでも駐車できるすぐれ物だ。まさに“小ぶリッチ”な車と言える。
今回の東京モーターショーは、総来場者数が前回比37%増の84万2600人と、主催者の想定以上の大盛況となった。「若者のクルマ離れ」から収縮が加速する日本国内の自動車市場において、自動車業界関係者の予想を大きく上回った原因は何だったのか?来場した若者が一目見ようと集まったのは、実はハイブリット車やIT系電気自動車ではなく、トヨタの「ハチロク」に代表される小型スポーツカーだった点をアンケートが語っているのは見逃せない。「ハチロク」とは、83年から87年まで生産された4代目「カローラレビン(AE86型)」を指し、販売終了後も長らく中古車市場で高値で取引された往年の“小ぶリッチ”カーを今回復活のテーマにした車だ。当時車がFF化していく中、DOHCの高性能エンジンを積んだ最後のFRと言われた。ドリフト走行は高性能FRしか出来ない為、中古でも高い人気を誇った事をオジサン達も覚えているのだ。「車は速くなければ楽しくない!」という基本に、やっとトヨタも気がついたのかもしれない。それでもカローラレビンの時代は200キロはなかなか出なかったので、高速道路は100キロ制限だったが、あまりストレスは無かった。今は300キロ出る車もザラだが、高速道路は今だに100キロ制限だ。片や新幹線にスピード違反はない!これでは車はストレスの塊りになってしまう。そのハケ口がハイブリッドでの燃費競争では、若者は皆電車オタクになってしまうのではないだろうか?
来春は、ホンダもNSXを復活させてモーターショーに出展するらしい。日本の特技「小ぶリッチ」をさらにスゴイものにして世界をリードし続ける為には、それを使う場所も提供しなければ産業は育成されない!

| 11.12.16

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