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ノンアル

アルコール度ゼロでも、味はお酒という「ノンアルコール飲料」。もともとは、飲酒できない時やむを得ず飲む「代替品」だった。味も本物に比べるとイマイチなので我慢して飲むケースが多かったが、本格販売から2年、今では積極的にこの飲料を選ぶ人が増え、「ノンアル消費」が定着しTPOが多様化しつつある。
サッポロビールが今年6月、ノンアルコールビールを飲んだことのある首都圏在住の20代から50代の男女800人を対象に行った調査によると、家庭内に子どもがいる男性回答者の57.2%が、「東日本大震災の後、自宅でノンアルコールビールを飲む機会が増えた」と答えている。その理由としては、6割以上の男性が、「外でお酒を飲むのではなく、家事や育児などの家族サービスのため、自宅でノンアルコールビールを飲むようになった」と回答した。また、震災に備えて、「いつハンドルを握るかわからない」という、“酔えない”消費者心理とも合致している。そうした傾向に対応して、各メーカーともノンアルでも「お酒らしさ」には妥協せず、味の追求が急速に進んでいる。ビールテイスト飲料のヒットに続いて、「サントリーのんある気分」をはじめ、カクテルやワイン、焼酎、果ては甘酒まで、続々と種類も増えている。
「もどき商品」が、まったく別の商品として市民権を得てしまう例は多い。「カニカマ」は本物のカニではないが、もはや一つの商品ジャンルになり、フランスで「スリミ(surimi)」として各家庭の常備品として定着成長している。お酒もどきの「ノンアル」も、食品カテゴリーとして本物に高まりつつある。日本のモノづくりにとって、厳しい規制や制約は時にマイナスではなく、競争力・育成の為の重要なファクターになっているのかもしれない。

| 11.12.02

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