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イスラミック・ファッション

長期独裁政権に対する国民の不満と結びついて「アラブの春」と呼ばれた民衆化運動は、チュニジアからエジプト、リビア、シリアなど他のアラブ諸国へと広がり、各国で数々の政変や政治改革が続いている。その影響か、イスラム関連の報道が近年になく増えている。最近行われたイスラム教最大の聖地メッカへの大巡礼も、世界中から300万人の信徒がサウジアラビアに集まる模様が、カタール・アルジャジ―ラをはじめ、YouTubeやソーシャルメデイアなどインターネットでも世界中に伝えられた。9.11の事件以降、米国ではイスアラム教徒=テロリストと考える人々が増えていたが、そんな傾向にも変化が表れているように見える。
そうした中、マレーシアの首都クアラルンプールで、毎年11月に開催される「イスラミック・ファッション・フェスティバル」が、今年で6回目を迎え注目を集めている。このイベントは、マレーシア人を中心に世界各地のデザイナーが斬新なイスラム式ファッションの作品を発表するというものだ。イスラム教では一般的に女性はアバヤという伝統的民族衣装で、全身を黒色で身体の線を出さないように覆うスタイルをする。しかし、ここで展示されるアバヤは、ボルネオ島の野生の花をイメージした色彩豊かなデザインものや、精巧なビーズをふんだんに使ったゴージャスなものなど、イスラム様式を守りつつも、ファッショナブルで自由な発想に満ちている。最近は、イスラム教徒ではないデザイナーの参加も増え、宗教を超えてファッショナブルだという理由でアバヤを注文する人も少なくないそうだ。ファッションを通じて異なる宗教間の理解を深めるいい機会になっている。
ところで、アバヤの根底にある思想はどこから来たのだろうか?アバヤは、女性の性的魅力を封じ込める目的を持たせた衣装だ。イスラム教は比較的新しい宗教だが、ローマンカトリックの修道女も同じような衣装に身を包んでいるのは何とも不思議かつ皮肉な事だ。ひょっとして発想は同じなのかも?

| 11.11.11

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