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日本ワイン力

今巷でじわじわと人気を広めつつある、100%日本産ブドウでつくった日本ワイン。全国各地でワインが作られており、まさにその勢力圏を広げんとしている。
かつて日本ワインの造り手は、ボルドーに負けないフルボディのワインを造りたいと頑張っていた。それが、90年代からボルドーと同じものを目指しても勝てるわけがないと悟り、自分たちの造るワインはこれでいいのだと思えるようになり、それからは格段にレベルが上がってきたと言われている。東急百貨店本店(東京・渋谷)のワイン売り場では、今年1~6月の日本産ワインの売り上げが前年同期比で22%増えたそうだ。フランスワインも好きだけど、比較して飲んでみたいと思える日本産ワインが増えてきた、と指摘するお客様が目立ってきているのだという。
山梨県・津金にあるスタッフ3名の小さなワイナリー、L'ATELIER de BEAU PAYSAGE (ラトリエ・ドゥ・ボー・ペイサージュ)は、その人気たるや絶大で、ソムリエはもちろん、料理を問わず飲食店関係者からも熱烈な支持を得ている。主宰者の岡本英史氏は90年代に、20代でゼロからワイン造りの為に自分で畑を借りて、ワイン用ぶどう品種を栽培することから始めた。最近では熱狂的なファンも増えて、毎年6月頃から売り出すワインを手に入れることは至難の業だ。こうした意欲的で小規模ながら高い品質を追求するワイナリーの開設が相次ぎ、それらが多彩な味を生み出すことが、日本ワインの競争力を高め、マーケットを創り出してきた。また、一昔前までは自己主張の強いワインがもてはやされていたが、今はむしろクリーンな味わいで、フードフレンドリーなワインが求められており、合わせる料理も日本料理も含めてヘルシーでかつ軽やかなものへと嗜好が変化してきたことが、日本ワインにとっては台頭のチャンスになっているようだ。
ワイン用の葡萄はまだまだ改良の余地はあるが、日本のフルーツとしての葡萄は、世界最高のレベルにある。日本政府は、米国とのFTA交渉で韓国に先を越された事の衝撃が、外貨を稼ぐ輸出産業にどれほどのものかを理解していないようだ。日本の米や果物、二次製品であるワインなども含めて、輸入品を迎え撃つ競争力はすでに充分にあるように思う。日本農業の潜在力は日本人の舌が衰えない限りすごい、と考えても良いのではないだろうか?FTA交渉に日本政府は何も恐れずに突入して良いのでは?

| 11.10.11

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