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ハイド・ドネイション

最近、投資ファンドの世界以外で『ファンドレイジング(fund raising)』という言葉がよく聞かれるようになってきた。
NPO等非営利団体のために寄付を集める行為も『ファンドレイジング』と言い始めたからだ。日本では、一般財団法人ジャスト・ギビング・ジャパンがNPOの為の『ファンドレイジング』のサイトを運営しており、人が何かにチャレンジしている姿を見せることを通して、支援したい団体への寄付を集めるプラットフォームを提供している。
ジャスト・ギビング・ジャパンは、震災後すぐに支援のための寄付体制を構築した。寄付を表明しているチャレンジは3,000件余り、集まった寄付金は5億円を超えている。「何とかしたい」という思いを「チャレンジ」というカタチに変え、そのチャレンジに共感した人が「寄付」というカタチで応援している。
米国の寄付は税金的にも優遇され、「売名」にも利用される。しかし、寄付したいと思っても「平等意識」が比較的強い日本人は、自主的に寄付行為をすることが苦手だと言われて来た。お互いに助け合うのはOKでも、あからさまな「寄付」は、心理的な上下関係を生み出してしまうのであまり好きではないという傾向だ。ちょっと前に起きた伊達直人現象のように、寄付者が誰だかわからない“ハイド・ドネイション”・・・「陰徳の美」というのが日本人には向いている様だ。ネットなどを通じて、気軽に、ひそかに寄付ができる環境が整いつつある中、そうした“ハイド・ドネイション”は、日本人のメンタリティにうまく合った新しい助け合いに育っていくように思う。

ファンドレイジング一般財団法人『ジャスト・ギビング・ジャパン(JustGiving Japan Foundation) 』

| 11.04.04

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